どうしても好きになれない歌がある。
ベストソングに入っている。
お気に入りフォルダにも入っている。
でも・・・・。




トゥータン




「おー?牛尾ー、どッしたー?」
「別に。」
「そんなにシラけんなッて」

ぼんやりと冬の空を眺めていただけ。
光が中に入れないように被せられたカーテン。
牛尾の目の前の窓だけカーテンが開いている。

「シラけてナイヨ。」

流れていく雲はすごく軽そうに見える。
手を伸ばしても届かない。

「ただね、歌が気に食わないんだ。」
「はぁ?」

訳の判らない題名、無駄に元気の良いメロディ。
聞いているとイライラしてすぐに一時停止をかける。
語りかけるような歌詞は皆を勇気付ける。
そんな素敵な歌なはずなのに。

嫌い。

「屋根より高く、空へ続く、君を導く、青い空。
今日は雨が降った、ずっと待ってた、見上げた頃
また青い空。」

ぶつぶつと歌詞を声に出してみる。
何故、どこが嫌いなのか自分でもわからない。

「良ッい歌だと思うけどなぁ。」
「・・・そう。」

ガハハと大口を開けて笑う獅子川と対照的に
口を尖らせる牛尾。
獅子川に向けていた視線をまた空に戻す。

何を見ているのか、牛尾自身にも判らなかった。


ずっとずっとこんな日々が続くと思っていた。
けれど、引っ掛かったままのトゥータンは取れなかった。






ある日、旅に出た獅子川から連絡が来なくなった。
その時、トゥータンを聞くと何故か嫌な気持ちがなかった。



“トゥータン”は僕を励ますための歌だったんだ。





【あとがき】

やーねーよりたかーく!
私、この歌好きになれないんですわ。
どーしてでしょう・・・。
でもカラオケでは三回位歌います。
何だかんだいいながら好きなんでしょうか。











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