さくら


初めて奴を見たのは桜の木の下だった。
中学に入ってすぐの昼休み。
誰にも見向きもされない大きな桜の木。



屑桐は昔と変わらないその桜の木を見ていた。
「もう5年も経つのか。」
時間が経つのは早い。
奴ももう此処に来ることはないのだろうと幹に触れる。
”春の香り”なんて話しても誰も信じようとしなかった。
それを信じたのはただ一人。
牛尾だけだった。





『春の香りかい?』
『・・・季節ごとに風が変わる。』
『いいなぁ。僕も感じてみたい。』
『大きな風が吹く。』
『もう、桜も散るんだね・・・。』




思い出の桜。
大きな幹に触れるだけで思い出がよみがえってくる。
そして、風が変わる。
あの時と同じ大きな風。

「やぁ。君も桜吹雪を見に来たのかい?」
風で散っていく桜の中に聞き覚えのある声。
そして髪、顔。
出会って何度も重ねた身体。
何度見ても、綺麗としか思えなかった。

「何故、お前が此処に?」
笑顔を見せる牛尾。
あの頃と全く変わらない。


「君がここに居るって、風が教えてくれたんだ。」










思わず見上げた空には舞い散る花びらしか見えなかった。




【あとがき】

これからエロに発展させるつもりだったんですが
無理ですた。
反省はしていない。










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