見慣れてしまった部屋。

伽藍としていて一人で居るというのがよくわかる。
でも塵などは落ちてなく。
彼の繊細さを部屋が物語っていた。


壁には学校の予定表。
そして、沢山のポストカード。
何かの文章。

その文に何が書かれているか気になった。
視線をその一枚の紙に移してみた。


「この世界中で一番貴方のことが好きなの。」


長い長い文の一番初めと最後にそう書かれている。
その一文が気になって仕方なかった。
誰にむけて書かれた文なんだろう。
牛尾は俯いた。

「牛尾、どっした?」
「ん・・・いや。」
ちらりと目の前の紙に視線を戻す。

「あ、それ、HYのさぁ行こうを文章化したヤツ。」
「・・・何?それ・・・」
「これこれ。」
ラジカセを取り出し、CDを入れる。
ピアノのような前奏が流れ出す。
そしてアルトくらいの女声。
ソプラノほどは高くない。

「綺麗な声だね。」
「これ聞くとよく眠れる。」
力のある女声に感動してしまう。
へへっと笑う獅子川にぼんやりとした笑顔を向ける。

”今君は何をしてるんだい?
君への気持ちが届いたらなぁ!”

何時も思っていたことがこの歌に。

”さぁ、行こう。
この果てしなき道を君と二人
月の明かりが照らし出し
道なき道を照らし出す
彼方へ、遥か彼方まで。

さぁ、行こう・・・・”



何も言わずに抱きしめた。

「んッ?」




「この世界中で一番、貴方のことが好きなの。」




【あとがき】

うー。この歌。
HYのさぁ行こう。
泣けるんですよねー!!
超お勧め!!!!






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