紙飛行機


屋上にはいつも屑桐がいた。
勉強なんてしなくても出来る、なんて君は言うけれど
僕にはそんな器用なこと出来ない。
でも、君に会いたいからたまに授業をサボって屋上へ行く。


「ねぇ、僕にも折り紙教えてくれないかい?」
「資源のムダだ。」
酷い。あまりにも酷すぎる。
判ってますよ。僕は不器用だし、折り紙だって下手さ。
むっとした顔をして見せると、屑桐は笑った。

「嘘だ。ほら、何色がいい?」
ずらりと色とりどりの色紙を僕に見せる。
緑やピンク、ブルー・・・金や銀なんて色もある。
でも僕は迷わなかった。


「君の瞳の色にするよ。」

そう言って赤を抜き取った。
屑桐は不思議そうな顔をしていたが、すぐにいつもの
無表情に戻った。

「で、何を作る?」
「えっと、君がいつも作ってる・・・何だっけ?」
あのヒューって飛ぶヤツ。
「・・・紙飛行機か。」
「ああ、それそれ!!」
「紙飛行機くらい覚えろ、馬鹿者。」
「五月蠅いなぁ。その紙飛行機で僕と勝負しようよ。」
「はーぁ?じゃあ俺は黄緑で作ろうか。」
何かたくらんでいるような笑み。
それを見て僕も笑顔になる。
僕の髪の色を選んでくれたことが、ただ嬉しい。




屑桐の紙飛行機の折り方を真似して作った紙飛行機。
なのに屑桐が作ったほうが巧く見える。
不器用って損だなぁ。


「じゃあ、飛ばすよ?」



すっと中を飛ぶ紙飛行機が二つ。
上を向くと空があまりにも青すぎて目をしかめた。

空を飛び回る赤と黄緑の紙飛行機。

「僕たちみたいだね。」
「ん・・・。」






僕も屑桐の真似をして
空に手を翳した。








【あとがき】

わぁー、まるで屑桐さんが屑桐さんじゃないみたい〜(何)
もっと甘々にしたかったんだけどなぁ。










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