その日は何となく眠れなくて
紅茶でも淹れようと身体を起こした。
眠れなくて起きたはずなのに頭がぼんやりしている。

電気ポットにコンセントを差し、カップを用意する。
そして、ティーバックを選ぶ。
流石にティーポットを使うのは面倒だ。


面倒なときのためにティーバック。
スタンダードにダージリン、アールグレイ、アッサム。
そしてバニラクリーム、ストロベリー、キャラメル等の
フレーバーティーが用意してある。


どれにしようか迷ったが、やっぱりダージリンに決める。
アイスティーにしたいと思い冷凍庫の氷を見る。
「ない。」
氷が一つも入っていない。
今から作ってもポットのお湯が沸くまでに出来る訳が
ない。

ふぅ。

仕方なくいつものホットにする。
今日はアイスティーが良かったのに。







ふと屑桐を思い出す。
彼は今、どこで何をしているのだろう。
窓を開け、空を眺める。
彼もどこかでこの星を見ているのだろうか?
なんて、何かの歌みたいなことを考えてしまう。

会いたいなぁ。


そういえば昔、教育番組で興味深い歌を聴いた。
思い出すように口ずさむ。

「両手を、差し伸べたい。怖くない。きっと、届く。
何を歌う?知りたい・・・・・」

続きが出てこない。
思い出せなくて誰かに電話してみようと携帯電話を
手に取る。

「もしもし?」
「ああ、良かった。屑桐起きてたんだ。」
「こんな時間に寝る奴がいるか。」
悪かったね。寝ようとしてましたよ。
「ちょっと聞きたいことがあってね・・・」
「何だ?」
「昔やってた教育番組のあつまれ〜って奴の主題歌
がどうしても思い出せなくって。」
「は?」
前髪を指でくるくるさせながら電話する。
電話は屑桐の顔が見えないので余り好きではない。

「両手を差し伸べたい、怖くないきっと届く。
何を歌う知りたい・・・までしか思い出せないんだ。」


そんなことかと電話の向こうから笑い声が聞こえてくる。
とても心地よかった。
一回しか歌わんからな。よく聞け。
そういって低音の心地いい歌声が聞こえてきた。



「両手を差し伸べたい。怖くないきっと届く。
何を歌う?知りたい。どんな声で歌うの?
寂しいときどうしますか?仲良くなれますか?
涙のテレパシー聞こえてくるよ。
これから君を探しにいくよ。」


ゆっくりで、何だかふわふわしていて。
屑桐が歌うと世界が変わる。


うとうととして、何時の間にか電話を持ったまま寝てしまっ
たらしい。


次は目の前で歌って欲しい。
僕だけのために。


【あとがき】

あのね。ただあつまれじゃんけんぽん!の
主題歌が書きたかった。
涙のテレパシーは今でも超好きな歌です。
きっと御門たんが歌ったら似合うよ!









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