「ねぇ、もし別々のがっこーに行くとしたらどうする?」
「一緒だろ?そんなん考えたことねーよ。」


一度だけそう聞いたことがあった。
黄色く色づいたイチョウの葉が落ちていく。
上には空、そして小さな蜻蛉が飛んでいた。

何故かその景色だけが頭から離れない。
忘れちゃいけない記憶だからだろうか?


「やっぱり寂しい?」
「そんなの知らん。」
ぶすっと口を尖らせて如何にも不貞腐れた口調。
嫌なのかなぁ?
少し期待してみたり。

「勝手に他んとこ行ったら承知しねぇからな。」
平手で頭をたたかれた。
「痛いなぁ、もう!」
ははっと笑いつつも肯定はしなかった。
だって、もう決まってたんだから。
僕の意志は固かった。


近くにいても、これ以上進歩はしないのなら。
もっと上へ。
更なる向上心を求めて。


ぐっと上に、空に手を伸ばしてみせる。

「何してるんだ?」
「こうするとね・・・。屑桐君もしてみてよ!」
「は?こうか」
「そうそう。こうして手を翳して空を見ると」

手を伸ばしたら、探してた明日に

「届きそうなの。」
「空に、か?」
「ふふっ、秘密。」

きっと君に話しても鼻で笑うでしょ?
目を閉じたまま走り出せばそこは未来なんだよ。
なんてね。



「そうだ。君におまじないを教えてあげる。」
「何だ?」
「Walk my way.Long and winding」
「で、どういう意味だ?」
「教えてあげない。」

教えちゃったら、君の心の中に残らないでしょ?
だから、教えてあげないんだ。

その言葉を思い出せば
僕のことも思い出してくれるでしょう?

だから、僕がいなくなっても。
君は、自分を信じて。
君しかわからない君もいっぱいあるんだから。
僕にしかわからない君も。


『自分の道を歩いて。
例え、長く、曲がりくねっていても。』



秋はもう終わりを告げようとしていた。
そのイチョウが落ちれば、風は冬の匂いに変わる。
なんてそのときの僕は気付いていなかった。


【あとがき】

賞味期限の切れた秋。
なんとなく、中学屑牛の離れ離れになるヒントを
与える牛尾さんが書きたかったです。
ただ、それだけ。
てか、今日はクリスマスの匂いがしますネ!
(現在10/22)









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