もしも、君と僕との間に何かがあるとしたら。



何時も通りの平凡な授業。
ただ、先生の禿げて光っている頭を見つめていると
屋上に見覚えのある人影が見えた。

でも、授業中だったのでまた禿げに視線を移す。
今日もいい感じに光ってますなぁ。
窓から反射する光が頭に反射してまぶしい。
僕も将来はこんな頭になるのかな?

そう考えるととても嫌な気分になった。


はぁー。とうつ伏せになっていると、黒板に向けていた
禿げ頭が振り返った。

「ぉー、牛尾ー。調子悪いかー?保健室行って来いー」
「・・・はい。」


なんだか禿げ頭にも飽きたので体調が悪いフリをして
教室から抜け出した。
先生が言うから悪いんだよ。

僕ってずるいなぁ。

そして階段を駆け上った。
僕を追い返すような冷たい大きな鉄の扉。
重くて開けられないかと思ったけど意外と軽かった。
ぎぃっと扉を開けるとさわやかな風が僕の髪を揺らす。




「やぁ、屑桐君!こんな所に居たんだね!」
判っていたけれど知らないフリをする。
白々しい演技。
「・・・授業はまだ終わっていないはずだが?」
「抜けてきたんだ。」
にこーっと得意そうな笑みを浮かべて見せると屑桐君も
何となく笑ったように見えた。
「空が青いねー。キンモクセイの匂いもするよー。」
「ふん・・・。」
ぼんやりとした雲があるけど、快晴になるのかな?


屑桐君に前から聞きたいことがあったんだ。
彼は、僕と同じにおいがする。
「君は、何で授業を受けないんだい?」
彼はじっと僕の目を見つめて言った。
「学校の勉強は勉強じゃないから。」
やっぱりだ。
彼は僕と同じ世界を見ている。確信した。
でも、更に問い詰める。
更に深い確信が欲しかった。

「どういう意味?」
「学校で学ぶ勉強は個性を潰す。テストは先公の好みの
答えを書かせるだけの軍人を育てるようなもの。」
「ふぅん。」
自然と唇から笑みがこぼれる。
はじめてみた僕と同じ人種。彼は僕だ。

「君は、僕と同じ?」
「?」
「君は僕に似ている。」

そのまま口付けた。
もう一人の自分を取り入れたいと思った。
このまま、僕の足りない部分を僕に頂戴。
君に足りない部分は僕のをあげるから。

「まさかお前からこんな事するとは思わなかった。」
くすくすと笑いながら思ったことを言う。
「幻滅した?」
「いや。」

もう一人の僕も、僕が同じ世界にいる人間だと気付いた。
彼と一緒にいたい。
足りない部分を補い合って生きたい。
きっと、彼と僕なら出来るはず。



彼と僕の間にあった上っ面を剥いだ今、
一万桁の電話番号は僕等の前から消え去った。



【あとがき】
えー!!!!?
こんな終わり方でいいの!?
一万桁の電話番号ってッ!!(謎)
でもね、中身は二人とも似てると思う。多分。










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